来る12月15日(土)の14時から、バスク地方を題材にした表題のドキュメンタリー映画の上映と、関係者のトークセッションが、東京外国語大学にて催されます。
この映画は、姫田忠義(1928~2013年)さん率いる民族映像文化研究所が、フランスのコレージュ・ド・フランスの協力を得て、1981年に完成させたドキュメンタリーです。「アマ・ルール」とは、バスク語で《母なる大地》を意味します。
ピレネー山脈の西端部、フランスとスペインの国境を跨いで広がるバスク地方に住むバスク人は、印欧系語族よりも古くから当地に根ざす、西ヨーロッパ最古の先住民族だと言われています。
特異な形質人類学的特徴を有し、独特の言語文化を保持しているバスク社会には、ヨーロッパ基層文化の諸要素が色濃く残っているのではないか、という視点に立って、羊飼いの移牧生活にスポットをあてる中で、「家」の重要性や「女性原理」の広がりが浮き彫りにされていきます。祝祭や伝統行事など歳時の映像を交えつつ、移ろいゆくものと留まり続くものの対照を、淡々と、しかし暖かい眼差しでもって描出した秀作です。
この作品は、1981年度『キネマ旬報』の文化映画ベストテンにおいて第9位にランクインしましたが、商業映画でないこともあり、その後本作品を観ることのできる機会は、ごく限られきました。この機会をお見逃しなく。